秋冬になると、落ち葉の中からどんぐりが顔を出していることもよくありますよね。
ころりと小さくつやつやしたどんぐりを見つけて嬉しくなるのは子どもだけとは限りません。
でも、拾って持ち帰ってきたどんぐり、どうしていますか?
集めたどんぐりをそのまま紙袋や空き箱に入れて保管している……という方は、ひょっとしたら今頃白い虫が出てきているかもしれません。
小さいお子さんのいる方もアウトドアが好きな方も、必見です!
どんぐりを放置するのは危険!虫が出てくるかも!出てくる虫の種類は?
どんぐりをそのまま放置しておくと危険ですよ!
かなりの確率で、どんぐりから虫が出てきます。
「でも、虫食いの穴があるどんぐりなんか拾ってこないよ」……という方も多いでしょう。
しかし、どんぐりに卵を産み付ける虫は、どんぐりがまだ熟していない時期に、「殻斗」というどんぐりの帽子のような部分の脇の柔らかいところから穴をあけます。
その穴はどんぐりが成長するにしたがって消えていき、一見無傷でも中には既に虫がいる……という訳です。
どんぐりに卵を産む虫の多くは「クヌギシギゾウムシ」や「コナラシギゾウムシ」といったシギゾウムシ類で、どれも成虫は顔に長い「口吻」を持っています。
象の鼻のようだから、「ゾウムシ」と呼ばれるのですね。
「ハイイロチョッキリ」もゾウムシと同じように、どんぐりが青いうちに卵を産み付ける虫です。
一方、「クロサンカクモンヒメハマキ」というガの一種や「ドングリキクイムシ」は、どんぐりが熟して地面に落ちた後に卵を産み付けます。
これらの幼虫は、成長するとどんぐりの中から穴を開けて出てくるのですが、十分熟したどんぐりのかたい殻を破れるくらいの強いあごを持っているので、ポリ袋や紙袋などは簡単に食い破ることができます。
きれいなどんぐりだから大丈夫、と油断して押し入れに入れておいた方……
今頃、どんな状態になっているでしょうか……。
どんぐりの虫はいつ出てくる?
どんぐりの中に産み付けられた卵がかえると、幼虫はどんぐりの中身を食べて成長します。
でも、成虫になってからどんぐりの外に出てくるわけではなく、幼虫の状態である程度大きくなったら外に出て、土の中でさなぎになり、やがて成虫になります。
シギゾウムシは産み付けられてから10日~2週間後、ハイイロチョッキリは約40日後に外に出てくるそうです。
ただし、ドングリキクイムシの場合、どんぐりの中で育ったオスは、姉妹であるメスたち(オス1匹に対しメス10匹が育つそうです)と交尾した後、外にから出ることなく死んでしまうのだとか……。
一生をどんぐりの中で終えるドングリキクイムシのオス、ちょっとかわいそうですね。
いずれにせよ、「ある程度待ってから虫が出てこなければセーフ」ではありますが、待っている間、時には拾って間もなく出てくる可能性もあるということ。
拾って何もせず放置するのはリスキーと言えます。
どんぐりに虫がいるかいないかの見分け方
拾ってくる前に、最初から虫がいないどんぐりを選べたらいいですよね。
どんぐりに虫がいるかいないかを100%見分ける方法は、実はないんです。
しかし、100%の確率ではありませんが、虫がいるかどうかの目安になるものはあります。
どんぐりに虫がいるかいないか見分ける目安①小さな穴がある
一見すると穴がなくてきれいなどんぐりでも中に虫がいることは多く、見た目で判断するのは難しいです。
それでも、どんぐりの殻斗(帽子のような部分)の近くに、よく見ると卵を産み付けた時にできる小さな穴が見つかることがあります。
この場合は虫がいるとわかりますね。
どんぐりに虫がいるかいないか見分ける目安②枝付きで落ちている
もしどんぐりが枝付きで落ちていたら、ハイイロチョッキリがいると思っていいでしょう。
ハイイロチョッキリは青いどんぐりに卵を産んだ後、どんぐりを枝ごと落とすという習性があります。
秋だけでなく、夏に何故か青いどんぐりが枝ごと落ちていたら、それはハイイロチョッキリの仕業です。
どんぐりに虫がいるかいないか見分ける目安③どんぐりの種類で判断する
どんぐりをつける木はいくつか種類があり、ゾウムシも種類ごとにどの木を選ぶかははっきりと決まっています。
コナラやクヌギのどんぐりは虫がいることが多く、マテバシイやアラカシのどんぐりは少なめとも言われています。
ですが、やはり100%虫がいない、とは言えません。
どんぐりに虫がいるかいないか見分ける目安④水に入れて調べる
どんぐりを水に落として調べたという方もいるようです。
その方によると、水に沈んだどんぐりは中身が詰まっていて虫がいないことが多く、反対に水に浮いたどんぐりは虫がいたり中身が食べられてスカスカだったりということが多いとのこと。
とは言え、水の中に沈んだどんぐりにも虫がいたことはあったそうなので、過信は禁物です。
目安はあるが、100%見極めるのは難しい
どんぐりに虫がいるかどうかを100%見極めるのは不可能と言えそうです。
むしろ、「どのどんぐりも中には虫がいる」と思っていた方がいいかもしれません。
どんぐりの虫抜き処理方法(虫の殺し方)|熱湯で煮る時間は?
虫のいないどんぐりを探すのが難しいならば、中にいる虫が出てこないように処理するしかありません。
どんぐりの虫抜き処理方法(虫の殺し方) を3つ紹介しますね!
どんぐりの虫抜き処理方法①熱湯で煮る
ポピュラーな方法として、沸騰したお湯でゆでる方法があります。
この時、ぐらぐら沸騰したお湯にどんぐりを入れると割れてしまうことがあるので、水の状態からどんぐりを火にかけるようにしてくださいね。
そして、5~10分煮ればOKです。
もし、いつも料理に使っている鍋でゆでることに抵抗があるなら、ガス火で加熱する鍋焼きうどんやグラタン皿などの、アルミでできた使い捨て容器を使うといいですね。
どんぐりの虫抜き処理方法②電子レンジやオーブンで加熱する
もっと手軽に加熱するなら、電子レンジやオーブンを使うという手もあります。
あまり加熱するとどんぐりが割れたり焦げたり、時には破裂したりすることもあります。
電子レンジなら20秒、オーブンなら80℃で30分くらいを目安に、様子を見ながらゆっくりと加熱してください。
加熱されたどんぐりはかなり熱くなっているので、レンジやオーブンを開ける時、どんぐりを取り出すときは火傷に十分気を付けてくださいね。
どんぐりの虫抜き処理方法③冷凍庫で冷凍する
一番簡単なのは、冷凍庫で冷凍してしまうこと。
どんぐりを洗って汚れを落とした後、ビニール袋などに入れて1週間~10日程度冷凍庫に入れておきましょう。
これくらい時間をかけることで、中までしっかりと凍らせることができます。
その後は自然解凍し、日陰で乾燥させます。
十分乾燥させないとカビが生えてしまうので、完全に乾かしましょう。
まとめ
この記事では、どんぐりの中にいる虫について解説しました。
その辺に転がしておいたどんぐりからいつの間にか白い幼虫が出てきたなんて考えると、あまりいい気持ちはしませんが、実はシギゾウムシの成虫は「かわいい」と言う人もいます。
飼育ケースやプラスチックなどの丈夫な容器に土とどんぐりを入れておけば、虫の生態観察もできるかも。
しっかり処理して虫を予防するもよし、虫観察に切り替えるのもよし。
秋の風物詩どんぐり、ぜひ楽しんでくださいね。