初めてローマ字を習ったとき、”英語が書ける!”と嬉しくて、自分の持ち物にイニシャルをたくさん書いたという経験はありませんか。
大人になってからは手帳やキーケースなど、名入れサービスを利用してイニシャルが入ったアイテムを常に身に付けているという方もいらっしゃいますよね。
しかし、イニシャルの表記にはパターンがたくさんあるため、どの表記がよいのか迷ってしまうときもあるはず。
今回は、そんな身近な“イニシャル”について、改めて確認しておきたい「一般的な書き方」や「姓名の順番」「ドットをつける意味」について解説いたします。
イニシャルの書き方①例
イニシャルの書き方はいくつかありますが、まず抑えておきたいのは、イニシャルを書く時のローマ字は、ヘボン式を使うということ。
普段私たちが何気なく使用しているローマ字には、外国人が発音しやすい「ヘボン式」と、日本人が発音しやすい「日本式」「訓令式」がそれぞれあります。
しかし、パスポートや公的書類に使用されており、学術論文向けに推奨されているのがヘボン式であることから、イニシャルを書くときに使用するのも「ヘボン式」が一般的であるとされています。
では、ヘボン式を使って、イニシャルはどう表記するのでしょうか。
通常、イニシャルは姓と名の頭文字(1字)を抜き出して表記します。
例)やまだはなこ
Y.H. / H.Y.
ただ、財布やカバンなど何かに名入れをするときは、姓と名のどちらか一方だけをイニシャルにする場合もあり、表記の仕方は必ずしも決まっているわけではありません。
イニシャルの書き方は、使用するシーンや文字のバランス、好みによって使い分けることがほとんどです。
例)やまだはなこ
Y.Hanako / Yamada H. / H.Yamada / Hanako Y. など。
ヘボン式の正しい表記
イニシャルの書き方②姓名の順番は?どっちが先?
イニシャルを書くときや読むときに、悩む方が多いのが「姓名の順番」です。
私が子どもの頃は、欧米の表記に倣い、学校では「名→姓」の順番で教えられましたが、テレビなどで著名人の名前が取り上げられるときは、「姓→名」の順番で表記されていることもありました。
つまり、統一されていなかったのです。
しかし、2020年(令和2年)1月1日からは、「公文書などで日本人の名前をローマ字で書くときは、『姓→名』の順番で表記する」と政府によって定められました。
これは、2020年の東京五輪(実際は2021年開催)を見据えての措置で、日本人選手の名前を電光掲示板に表示するときや、各局でテレビ放送するときなどに統一したいというのが目的だったようです。
このことから、現在では、イニシャルも「姓→名」の順番で表記することが望ましいとされています。
ちなみに、イニシャルではなくフルネームをローマ字で書くときは、姓と名がわかりやすく区別できるよう、姓をすべて大文字で書くというルールもこのときに出来ました。
例)やまだはなこ
YAMADA Hanako
イニシャルの書き方③イニシャルのドットは必要?位置はどこ?
イニシャルを書くときに見かけることが多い「.(ドット)」。
なんとなく姓と名の区切りだからつけているという方はいませんか?
実は、ドットには意味があり、つけるべき位置も決まっているんですよ!
①ドットは「省略記号」である
イニシャルは、姓や名の頭文字だけを書いたもの。
つまり、省略して書いたものであるため、ドットをつけることで「この後ろの文字を省略しています」という意味を持ちます。
例)やまだはなこ
Y.Hanako
と書くと、Yamada Hanakoのamadaを省略しているということ。
しかし、ここで疑問が生まれます。
それは、よく目にするイニシャルの書き方「Y.H」の場合です。
Yの後ろにドットが入っているので、Yの後には省略された文字が続くことがわかりますが、Hの後ろにはドットがついていません。
つまり、これは正しい表記ではないということ。
本来であれば、「Y.H.」であるため、Hのうしろにもドットをつけるのが正式な表記となります。
例)やまだはなこ
Y.H. / Yamada H. / YAMADA H.
②ドットが不要なケースもある
「省略」の意味を込めてつけるドットですが、つけなくてもよいケースもあります。
それは、「YH」のようにどちらも大文字で書いた場合です。
“Oll korrect(correct)”の省略であるOKや、“United States of America”の省略であるUSAにドットがつかないのと同じですね。
つまり、やまだはなこさんの場合であれば、「Y.H. ドットあり」と「YH ドットなし」はどちらでも良いということです。
例)やまだはなこ
Y.H. (ドットあり)
YH (ドットなし)
ちなみに、「,(カンマ)」が使われているケースも見かけますが、それは姓と名を区別するために姓の後ろにつけているだけなので、ドットと勘違いしないよう注意が必要です。
イニシャルの書き方まとめ
「ぱぱっと簡単に書ける」「おしゃれに見える」そんな理由から、表記されることが多いイニシャル。
今回は、そんなイニシャルの正しい書き方について解説いたしました。
いままで“なんとなく”でイニシャルを使っていた場合は、ドットの使い方や意味を知らなかった方がほとんどかもしれませんね。
「姓→名の順番」は、まだまだ浸透していないところもありますが、テレビを見ているときや本を読んでいるとき、自分の荷物に目印をつけたいときなど、さまざまなシーンで応用することができますので、覚えておくと便利です。