インド料理屋さんに行くと、必ずといっていいほど、メニュー表に記載されているチキンティッカとタンドリーチキン。
どちらか一方だけが記載されていることも多いため、お店によって呼び方が違うだけだと思っている方は少なくありません。
でももし、お店にチキンティッカとタンドリーチキンがどちらもあったら、あなたはどちらを選びますか?
今回は、なんとなくわかるけれど、きちんと説明はできない。
そんな「チキンティッカとタンドリーチキンの違い」について解説いたします。
チキンティッカとタンドリーチキンの違い
チキンティッカとタンドリーチキンの違いは、鶏肉の大きさです。
お店で食べる場合、どちらも食べやすいサイズであることが一般的ですが、チキンティッカは小片であることがほとんど。
それは、チキンティッカの“ティッカ”の語源からきていると言われています。
“ティッカ”とは、パキスタンやインドなど南アジアを中心とするウルドゥー語で「切り身」を意味します。
大きな塊肉ではなく、切り身を意味しているため、チキンティッカは小片であることが多いのです。
一方、タンドリーチキンは、小片のものもあれば、食べるときに“かぶりつく”という表現が当てはまるような大きなサイズの鶏肉であることが多いです。
そのため、違いの1つに「大きさ」が挙げられます。
大きさ以外に、幅広く認識されている違いとして「骨の有無」があります。
チキンティッカが骨なしの小片であるのに対し、タンドリーチキンは骨がついたまま焼き上げられています。
部位ごとにカットせず、丸焼きのタンドリーチキンも存在していることから、日本では一般的な認識として、「骨なしがチキンティッカ、骨ありがタンドリーチキン」と捉えられていることが多いようです。
しかし、ネット上では、チキンティッカについて下記のような記載があります。
カシミール地方では赤く熱した炭火で焼くため、必ずしも骨無しで提供されるとは限らない。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
このことから、チキンティッカとタンドリーチキンは骨の有無による本質的な違いはないとされています。
そのため、「骨の有無でそれぞれ認識されていることが多いが、実際は骨の有無で分けられているわけではない」と捉えておくのがベターです。
チキンティッカとは
チキンティッカとは、鶏肉を小片にカットし、インドのスパイスとダーヒ(またはダヒー)に漬けこみ、「アンジーティ」と呼ばれる火鉢や炭火で焼いた料理のことです。
ダーヒとは、インドやネパールで作られる乳製品のことで、日本のヨーグルトに近い食べ物のこと。
ラッシーにして飲み物として味わったり、肉や野菜の煮込み料理に加えたりなど、家庭でも頻繁に使用されているポピュラーな食品です。
チキンティッカは、多数のスパイスを使用して調理するため、見た目が赤く、辛みがあることが一般的ですが、同じチキンを使用した料理でも、生クリームをたっぷり使用した、辛くない“チキンマライティッカ”と呼ばれる料理もあります。
ティッカは、前項の通り、ウルドゥー語で「切り身」を意味することから、たとえ辛くなくても、鶏肉を使用していなくても、切り身を使用していることで“〇〇ティッカ※”と呼ばれる料理がほかにもたくさんあります。
※魚を使用したフィッシュティッカやチーズを使用したパニールティッカなど。
タンドリーチキンとは
鶏肉をインドのスパイスとダーヒに漬けこみ、土で作られた「タンドール」と呼ばれる円筒形の窯で焼いた料理のことです。
スパイスは、赤唐辛子の粉やカイエンペッパー、ターメリック、チリパウダーなど複数の香辛料を混ぜ合わせたもので、“タンドール・マサラ”とも呼ばれます。
基本的に、チキンティッカと見た目や味付けが似ている料理ですが、チキンティッカのように骨を取り除き、小片にカットされていることは少なく、骨付きでやや大きめのサイズであることが特徴です。
タンドール(土窯)は、チキン以外にも、ナンやローティーといったパン類や、ケバブなど、さまざまな料理の調理に使用されています。
チキンティッカとタンドリーチキンの違いまとめ
見た目や味付けが似ているチキンティッカとタンドリーチキン。
サイズや骨の有無を考えると、当然違いはありますが、調味料や調理方法が似ていることから、2つにそれほど大きな差はないように感じます。
お店であれば、もっと明確な差があるのかもしれませんが、家で手軽に作れるレシピを検索してみても、“チキンティッカ(骨無しタンドリーチキン)”と表記されているものが多いです。
そのため、どちらを選択すればよいのか迷った時は、食べやすさを重視するのであれば骨がない“チキンティッカ”、しっかりと食べ応えを感じたいのであれば骨付きの“タンドリーチキン”を選ぶなど、好みや誰が食べるのかを考慮して選択するのがおすすめです。